ドイツへ行ってきました(2日目)その①~Karmeliten醸造所見学~

現地時間2月5日。

ただの朝食の写真を撮っただけですが絵になりますね~(自画自賛)

ホテルの朝食▲ ホテルの朝食

本当にどこを撮っても絵になる。

本日は早速今回の旅の1番の目的、これから取引させて頂く予定の、Karmeliten Brauerei(カーメリテン醸造所)さん(http://www.karmeliten-brauerei.de/)の工場へ向かいます。

先方の方々は「英語喋れるから通訳いらないよ~」と事前に仰ってましたが、とんでもない!代表、大学でドイツ語(とフランス語)選んでたのに、ドイツ語はもちろんのこと英語もろくに話せないよ!(キッパリ)

かろうじて言うてることがわかるぐらい…です。情けない…

そんな代表には心強い味方がついてくれました。Straubing(シュトラウビング)からほど近い、というかStraubingより何倍も有名な世界遺産の街、Regensburg(レーゲンスブルグ)にお住まいになられて15年にもなる、吉村美佳さんにご同行頂けました!

何と吉村さんは、Regensburgの観光局公認のガイドさんとしてご活躍されている凄い方。地球の歩き方の特派員ブログ(https://tokuhain.arukikata.co.jp/regensburg/)や、リクルート社が提供するABロード(https://www.ab-road.net/guide/writer/00161/)などにて記事も執筆なされています。(今回ご一緒させて頂いた時のネタも執筆されていて僕としては嬉しい限りです><)。

寒い中ホテルの外で待っていると、Karmeliten醸造所のシェフ、Christof Kämpfさんがお迎えに来て下さり、挨拶もそこそこに醸造所へ。そして下記写真のようにたどり着いたのですが…

Karmeliten Brauereiの工場外観▲ Karmeliten Brauereiの工場外観

店長としては、本当に脳天撃ち抜かれたような衝撃を受けたあのビールを作っているその本丸に来れたかと思うと感無量で…この時点で泣きそうに…(;∀;)

ってはい、どうでもいいですね^^

で、早速工場の中を見学させて頂きました。

まず中に入れて頂いたのが仕込み槽がある部屋。充満するモルトの香りが素晴らしい。こちらで原材料や工程の大まかな説明を受けました。

こちらで使われている麦芽はすべてバイエルン産のもの。ホップはHallertau(ハラタウ)産とTettnang(テトナング)産のものを使用。馴染み処のものですね。そして水は工場敷地にある地下100mの井戸水を用いています。そこにもちろん酵母も。その酵母は7回醸造に使用し、その後は飼料として農家などに引き渡すそうです。

異なる高さに位置する大きな仕込み釜が6基▲ 異なる高さに位置する大きな仕込み釜が6基

もちろん、このKarmeliten醸造所もビール純粋令に則ってビールを醸造していますので、原材料はこれだけです。

このKarmeliten醸造所、環境への配慮にとても熱心な醸造所でして、2013年にはドイツ連邦の環境に関する賞も受賞するほどの取り組みっぷり。その説明を受けました。

基本は天然ガスからエネルギーを得るのですが、その他に地熱、風力なども利用しています。そのエネルギーを最新の機械などを用いて-5℃~95℃にコントロールし、最大限活かしてビールを製造しています。一方、冬は寒い気候を利用して天然の製雪機や氷を利用して冷却を行うなど、機械に頼らないエネルギーも用いており、この天然のエネルギーを使用するだけでCO2の排出量を40%削減できるそうです。

醸造所のエネルギー説明図▲ 醸造所のエネルギー説明図

また、仕込み釜も工程ごとに余計なエネルギーがかからないよう、段々と低くなるよう高さを調整していたり、先ほどの気候の利用も含め、「機械や技術は最新ですが、考え方は昔ながらの伝統を踏襲してビール造りを行っているんです」と責任者のKämpfさんは仰います。(このあたりのビール造りの伝統についてはいつかブログでまとめたいと思います)

このようなエネルギー効率化を推し進めた結果、普通の醸造所が作る際に工程全体で排出されるCO2排出量の99.6%を抑えることができたようです。1ケース分のビールを普通に作るエネルギーで、200ケース分が醸造できるのだとか!

続いて仕込み槽を上から覗かせて頂きました。

あわあわのホップ投入後の煮沸槽。▲ あわあわのホップ投入後の煮沸槽。

麦芽を粉砕している槽、粉砕した麦芽に温水を入れて麦汁にして攪拌している槽、ホップを投入して麦汁を煮沸している槽。その他に、稼働していませんでしたが、凝集物を除去するための槽(いわゆるWhirpool)も。ここで一度に8,000lを仕込めるそうです。

その次は冷却室へ。少しひんやりした部屋です。

煮沸し凝集物を除去し終わった麦汁をこちらにあるタンクへ移し、そこに酵母を投入します。その後約1週間かけて主発酵をさせます。

発酵タンク▲ 発酵タンク

下面発酵酵母のビールについてはこのようにタンクを用いて主発酵をさせますが、上面発酵酵母は瓶内で発酵させるようです。

発酵が済んだ麦汁は若ビールと呼ばれ、横向きの別のタンクに移されて、しばらく後発酵が行われます。この熟成が行われることで、不快な香味が好ましい香味に変わったり、炭酸ガスの溶解が進んだり、浮遊物が沈殿しビールの清澄が行われるなどします。この辺りはビールの製造工程の基本的なところですね。

そして瓶詰工程へ。

回収した瓶の洗浄、ビールの注入、ラベル貼付、王冠打ち、アルミ箔のラッピングがあるものはそれも、左の写真のようにひたすら機械で流れ作業が行われています。

1時間で2万本は詰めることができるそうです。

瓶詰工程。壮観。▲ 瓶詰工程。壮観。

その後、瓶詰されたビールは、配達用のケース等に収納され、パレットに積まれていきます。製造工程は、ここまで。

その後はKarmeliten醸造所の歴史について説明を受けました。

この見学後にStraubingの市内を観光ガイドさんに案内してもらう時にも追加でいろいろ情報を得たり、自分で文献にあたって調べたりしたのですが、その情報を含め簡単にまとめて記します。

Karmeliten醸造所は、Karmeliten Kloster(修道院)内に設置された醸造所であり、1367年、Straubingで建設されました。近くのRegensburgという有名な世界遺産の街にあるKarmeliten修道院から分家した、ということだそうです。

またどこかで文章にまとめますが、修道院は知的活動の中心であり、知識のある修道僧達がビールの醸造も行っていました。それは自分たちのためだけでなく、おびただしい数の巡礼者や放浪者、それに労働者にも、食事やビールの施しを行っていたためでもあるのです(参考:Straubingでの観光ガイド、及び、ビール世界史紀行、村上満、2010年)。

Karmeliten修道院も、その例に漏れず、敷地内でビールを醸造していたようです。

Karmeliten修道院の絵など▲ Karmeliten修道院の絵など

そして時は流れ1879年、Karmeliten修道院の醸造所部門を、今のオーナーの曽祖父であるKarl Strum氏が買い取りました。それ以来、ずっと家族で経営しています。

現在はDr. Gerhard Sinz氏とHelga Wender氏が共同オーナーとして経営しているそうです。

修道院の醸造所として開設された1367年から、昨年の2017年でちょうど650年を迎え、1879年に現オーナー一家が買収してからも来年2019年で140年を迎えようとしている、とても歴史ある醸造所であることがわかりました。その歴史を、ギムナジウム(中高一貫校みたいなもの)の生徒達が広く伝える、という活動もしているようです。

現オーナーの家系図。▲ 現オーナーの家系図。

醸造所見学についてはここまでです。更新遅くてすみません…

次回は連れて行ってもらったお昼ごはんのレポート(もちろんKarmelitenのビール飲ませてもらいました^^)から、先ほどもチラッと書いたStraubingの観光ガイドの内容についても記していきたいと思います。

お楽しみに!

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